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二世帯住宅

住宅の新築やリフォームを二〇〇〇軒近くお手伝いしてきたが、そのうちの約三分の一が「二世帯同居」住宅だ。

ひと口に二世帯同居といっても、一緒に住むのが娘夫婦か息子夫婦かで、考え方がまったく違う。

意外なことだが、息子夫婦と住む場合は、嫌でも顔を合わせる「べったり同居」が、娘夫婦となら完全分離の「勝手二世帯」がおすすめだ。

なぜ息子夫婦とは「べったり」がいいのか。

たとえば親子でケンカしたとき、実の娘なら「顔も見たくない」と腹を立てても、翌朝にはケロッとして「おはよう」と言い合える。

ところが嫁と姑の場合、いったんどちらかが爆発すれば、修復が難しい。

そのため、仲直りのきっかけを逸さないように、共有空間をつくり、なるべく「べったり」同居できる間取りが理想といえる。

将来的に「子夫婦の転勤」の可能性があるなら「二世帯含み住宅」も有効だ。

玄関は別々にし、一階あるいは二階には「マジック・ドア(世帯の問に、両側から鍵がかかるドア)」をつけ、普段は開け放っておく。

誰か他人に貸すときがくれば、そのドアを閉めればいい。

他方、娘夫婦との同居は、娘が家事や育児をつい親任せにするなど依存しやすくなるのがデメリットだ。

共有空間が多いほど「親のモノは自分のモノ」と考えるようになる。

この場合、玄関を明確に二つに分けるか、あるいはそれぞれの家を仕切るかして、自立できるように完全分離したほうがうまくいく。

二世帯同居の設計依頼は、この一〇年で目立って増えた。

最大の利点は、経済的なメリットだろう。

一般に建築コストは、二軒別々に建てた際の七〜九掛けで済むし、光熱費や水道料金など生活コストも遥かに抑えられる。

ローンや税金面でもメリットがある。

とくに玄関が別々の「完全分離」では、住戸が二戸とみなされ(区分登記)、親子別の名義でローンを組める「親子ペアローン」の借り入れや、固定資産税の軽減が期待できる。

生前贈与も、二〇〇三年の税制改正により、三五〇〇万円までの贈与は非課税になった。

親が三五〇〇万円全額支払って建てた家も、まるごと子ども名義で単独登記できるわけだ。

もちろん、同居はたやすいことではない。

私自身、設計段階で「親子(夫婦)ゲンカ」を幾度となく目撃した。

ただ苦難を乗り越えてでも、あえて親子が同居するメリツトをいま、強く感じている。

「働きながら子どもを産める環境にない」と悩む子世代、「孤独死が怖い」ともらす親世代。

核家族のデメリットを解決できる手段の一つが、二世帯同居なのだ。

人生入○年。

子育ての期間はわずか二〇年余りだ。

だが結婚後も親子で住めるなら、さらに二〇年以上を共に過ごせる。

どちらが損か得かでなく、どちらが豊かな人生かを考えて検討してほしい。

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